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『プリベンタブルデス』を読んで

>>今医師の救急医療への奮闘が本に/Web東奥・ニュース20051013_5
プリベンタブルデス 楽天
プリベンタブルデス―ある救急医の挑戦
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●『プリベンタブルデス(防ぎ得た死)ある救急医の挑戦』を読んで

・救命救急センターの副部長、
今明秀は*注1自治医科大学出身の救急医である。
年間平均500症例の重症患者を受け持っているが、
この数字は、おそらくほかの救命センターでは
一生かかっても到達できないほどの奨励数だ。
どんな患者も断らない、なんでも診て、
なんでも果敢に挑戦するという
タフな救急医なのである。
その救急医から、本書の版元であるCBRの三輪敏社長の元に
二枚の画像がメールで送られてきた。
一枚は生き埋めになった男性の破壊され
血まみれになった顔面の画像。
もう一枚は脳死の女性が出産した新生児の画像である。
・CBR発行「ERマガジン」の編集委員に
名を連ねる今明秀とは面識もあり、
優秀な救急医であることは聞きおよんでいたが、
「いきなり凄まじい画像を送ってくるとは、
どうしたことか?」と興味をそそられた三輪社長は、
さっそく「取材させてほしい」と連絡をとった。
私は三輪社長とともに川口市立医療センター
救命救急センターを訪ねた。
・私はこの今明秀という一人の救急医を通して
日本の救急医療に迫ってみたい、
ぜひとも取材させてもらいたいと思ったのである。

この本『プリベンタブルデス』は、
著者である龍田恵子さんが
救急医を取材したドキュメントです。
緊迫した現場にての密着取材と、その周囲環境や問題点などについての
記述ははもちろんその後の患者さんについても現地まで行って
きめ細かい配慮で取材されている。
医師と患者との関わり、そこから「生」と「死」が
クローズアップされてきます。
ブラック・ジャック先生! 本を読み終える頃、私はつぶやいていました。
第1章 第2章では
現場の密着取材、救急医療に携わる今先生の実像に迫り
病院の看護師、患者へのインタビュー、
第3章では日本の救急医療についてと
新潟中越地震での体験、反省点と改良点についての今先生の医療日誌
元警視庁長官、國松孝次氏と今先生との対談があります
*注1 自治医科大学とは
1970年、「医療に恵まれないへき地における医療の確保および向上と
地域住民の福祉を図る」ことを目的として、
各都道府県の知事による医科大学発起人会が発足
選抜は各都道府県から 2, 3人ずつ100人。
第一次試験は各都道府県で実施、第二次は大学で実施。
6年の一貫教育の後、卒業後2年間は臨床研修。2,3年はへき地などの病院勤務
後期研修を1,2年、9年間の義務年限に達した者は、入学時の資金貸与、学費が免除され
生活費の一部が支給されるシステム(防衛医大、産業医大も似たシステムをとってる)

選抜は難しそうだけど、
このようなシステムのある医大があったとは知らなかった
・ この本のタイトル「プリベンタブルデス」の語源 ・

的確な判断と速やかな処置で防ぎ得る外傷死=PTD
Preventable Trauma Deth
Preventable → 予防可能 Trauma → 外傷  Deth → 死
医療現場、いきなり手術室に入り、
ルポルタージュする著者の素直な感想と思い。
医師や看護師がなかなか知ることのできない、
その後の患者のルポルタージュ。
患者が忘れられない医師の言葉。それが生きる意志を引き出していた。
・ 今先生 医師の情熱 ・

・野口英世やブラック・ジャックに漠然と
あこがれていたにすぎなかった少年が
めざす医師像を描きはじめたのは、やはり
自治医大卒業後のローテーション教育を受けているときだった。
「地域医療に進んで挺身する気概」が養われ、
さらに瀕死の救急患者を助けるのだという
使命に燃えていったのである。
・「昔は、年上の外科医からいじめられたり、
なぐられることもありました。
いま思うと、能力がなくてだめな医者のことは怒らない、
なぐりもしない。
どうにもならない人は無視、あまりお世話もしない。
叱ったりするのはまだ見込みがあるからだと、
自分も指導する年齢になってきて、わかるようになりました。」

・ これからの救急医療体制 ・
幅広い診療能力の育成と人格形成をめざす
新医師臨床研修制度が発足された
医療側が医学的裏付けをサポートして全国的に始まった
救急救命士との連携するメディカルコントロールの実施
*注2 ERシステムの導入を始めた病院
*注2 ERとは
Emergency Room の略で、日本では
「救急外来」「救急救命室」などと訳されている。
テレビドラマではアメリカのシカゴにある
総合病院が舞台になっているが、
北米やカナダのトロントなどで行なわれているERの救急システムを指して北米ERとも呼んでいる。ERシステムは、軽症から重症まですべての患者を、何科だろうと、どんな時間帯だろうと受け入れることを第一とする。
それは患者側に立った医療の論理である。日本におけるERシステムは
福井県立病院や沖縄県立中部病院、慶応義塾大学病院をはじめ、
各地ではERシステムの導入を始めた病院が増えてきている

今先生は川口市立医療センターから、臨床研修指定病院である
八戸市立市民病院救命救急センターに移り
研修、救急指導員となって病院内外の救急活動の基礎固めをし、
医師、看護師、救急救命士の教育、そして一般市民をも巻き込んで
市民の救命救急に対する意識を変えていく。「救命の鎖」を紡いでいる。
この本は一般の人がフラリと医療現場を見るような
新鮮な感想を共感できると共に
そこから拡がっていくさまざまな人間模様を教えてくれ、
さらに現在活躍している救急医の一人の姿とこれからの日本が歩んでいく
理想的な医療を信じることができることを教えてくれた。
私はそれを知って、胸が熱くなった。
希望と理想が現実に近く感じられるものになる喜びを
この一人のブラック・ジャック先生と呼びたくなる、
今明秀先生は教えてくれた。
彼とともに多くの医療関係者が立ち上がっていくであろう。
彼の後に多くの優秀な医師が生まれていくだろう。
わたしはそう感じて嬉しくて泣けて仕方無い。
医師もそして看護師も、初心を思い出させられるのではないだろうか
これから医師や看護師となる指針ともなるのではないだろうか
そして・・ごく一般の人々にとっても
救急医療の一端を担うことができる認識と必要性が感じられ
いやいや、なんといっても著者から「生」の重みと
尊厳が伝わってくることとなるだろう
(手術場面は人によっては読みにくいかもしれませんが、
そうした場面だけ飛ばしても充分に本の大切な内容は伝わってきます)
龍田さんのこの言葉が響いてくる

初期診療を行なえる医師の存在、
それは医療の世界に求められるべき
本来の医師の姿でもあるのではないだろうか。
医師と患者の出会いもまた運命なのだろうか

八戸市立市民病院
後期臨床研修医募集のお知らせ
●提案
私はここ数年来、こうなったらいいのではないかと思うことがある。
この本の著者も現場の医療に立ち会って「命」の重みと「死」について
深く考えさせられる場面をシェアしているが、
実際、手術や様々な病気などで来院、
入院している人々をその目で見て感じることは
実はとても大切で重要な体験ではないかと思う。
人生を左右させるものであると言っても過言ではない
幼稚園では老人ホーム、小学生では数が少ないが
施設や養護学校の見学の授業をするところもある。
高校では、幼稚園で園児とすごす体験をするところもあるようだ。
また、ボランティア体験の授業もやっているところもあるようだ。
しかし、病院はほとんど無いのではないだろうか。
患者さんへの配慮や職員の仕事の邪魔にならないようにという配慮など
かなり難しい面があるとは思うが、
例えば看護師などは専門学校で勉強するとしても
やはり実技はいきなり見て体験するものばかりだ。
そのときのショックは一般人と同じ立場。
そして実は最初の体験は忘れられないものとなっていく。
命の誕生、死、そして手術・・
普通は決して見ることもない重症児の姿
そうしたことに遭遇するだけで、本や映像をはるかに凌ぐ
「命の重さ」と「健康」を実体験し意識させられる。
学校に通う子供達がそんな場面を体験できるようになったら、
それは大きな財産になっていくように思うのである。
看護授業をすることになったら・・ そう願うのです

 


———–
comment:ありがとうございます。
プラムさん
いま、コメントを長々と書いて送信したのですが、失敗したみたいです。
あれれ、同じことを書けませんが、やり直しです。(笑)
早速の感想と懇切丁寧な解説をありがとうございます。
しかも提案までされているので、驚きました。
未知の世界に踏み込み、驚きと感動を与えられて、書き進めました。
紆余曲折、取材不足、力不足に悩んだ日々もありました。
しかし、自分の書いた原稿を読んで涙ぐみ、
その涙が不思議な力に変化するのを感じたり。。
今先生はじめ皆様に支えられて
どうにか一冊にまとめることができました。
こうして本になってしまうと、面白いもので、
どんな感想も批判も素直に受け止めようと思い、
また書きたいという意欲もわいてきます。
現代の医療は病気を診て、人間を診ないといわれていますが、
決してそうではないということを救命救急の現場で知りました。
あ、人間の身体は神秘そのものでした。(2005.10.15 01:05:04)
龍田恵子さん
——
res:こちらこそありがとうございますm(__)m
恵子さん、ここ、コメントの字数が決まってるのでハネられちゃったかもです
私も長いレスになりそうなのでちゃんと書き込めるかハラハラです(笑)
本を読み進んでいくうちにまず、恵子さんがどれだけ大変な思いをされ、
この本をまとめていく作業がどれほど大変だったろう、と思いました。
恵子さんのHP掲示板にてあの頃、
こんな取材をしておられたんだなぁと感慨深くもありました。
私も感想を書こうとしたら、どのように書くか悩みました(笑)。
私自身のナース時代の体験も感想に書くと
収集がつかなくなってしまうことに気がつきました(笑)
看護学生の実習時代はそういえば、大きな珍しい手術があるときは
すぐさまそれを見るようにと指示されて他の作業を中断しても
呼ばれて見学したものですが、私も一番最初の手術は
腸が身体から出されていた手術だったのです。
私は真っ青になってたらしく先輩ナースから退出してもいいのよと
言われたけど我慢して見ておりました(笑)
今先生たちが治療に当たった重症患者のその後の取材には
驚いたと同時に何度も感動して涙ぐんでいました。
患者が手術から目が醒めたときのことを思いやる医師は
いったいどれほどいるでしょう。
顔面を破壊され救出された患者さんの話、
どちらの廊下を通るか選ばせた今医師の言葉に
どれほど感激したでしょう。脳死から奇跡的に意識を回復した
ジョークの卓越した優しい青年から
「イキタイトモ、シニタイトモオモワナイトキハ、ドウシマスカ?」と
聞かれたときの恵子さんの思いに胸が熱くなり、
その時の機転の利いた受け答えにも感激しました。
素晴らしい本をこの世に出してくださったことに感謝です。
そう、まさに恵子さん自身も出来上がった原稿を読んで
涙ぐまれたこの本は不思議な力を秘めています。
本当に身体って不思議、心って不思議。o○
その奥からやってくるパワーに思いが馳せられます
(2005.10.15 10:41:29)
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comment:応援ありがとう
「プリベンタブルデス」の今 明秀です.ご理解,ご声援ありがとうございます.八戸市立市民病院救命救急センターで,1年間に一般市民にAED講習会終了者1000人突破できました.講習料は無料です.ちょっと自慢です.(2005.12.13 21:25:42)
今 明秀さん
——
res:今先生! ありがとうございます!!!
今 明秀さん 書きこみありがとうございます
なんといったらいいか・・ 尊敬する今先生が見てくださってくれただけでも嬉しいのに・・今先生の書きこみ、もう嬉しくて嬉しくて涙ぐんでしまいました。 ネットでの言葉がこんなに生々しく喜びを届けてくれるなんて・・ ありがとうございます
>八戸市立市民病院救命救急センターで,1年間に一般市民にAED講習会終了者1000人突破できました.講習料は無料です.ちょっと自慢です.
おめでとうございますーーーっ!!! 凄いですーーーっ!!! 一段と寒くなってまいりました。どうぞお身体をご自愛くださいませ♪
(2005.12.14 08:35:59)

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