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『ノルウェイの森 』著書と映画のダブル感想

だいぶ前からちびちび読んでたら映画化され上映始まってしまった。
下巻の1/3まで読んでたものだから、これは読んでしまって
そのままほかほかな感想持ちつつ映画ってのもいいんじゃない?と
急ぎながらじっくり読んでなんとか映画を観に行くことができた。
こんなんで大丈夫なのかは体験してみなければわからない。

ということで、著書の感想と映画の感想一緒に書いてしまう。

■ノルウェイの森  上下 村上 春樹 (著)

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87年の作品。
ずっと気になりつつ読まずにいたこの本をやっと手にした。
最初に読んだ処女作「風の歌を聴け」は、その独特さに驚きつつも
あんまり好きになれない文章だった。(村上春樹「風の歌を聴け」を読んで « Kuu)

サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」は原本がそうなんだろうけど、
ああそうねと思いつつとても読み続ける気分になれなかった。
ねちねちしたサディズムばかりがクローズアップされる。

でもこの本は違った。
この小説の登場人物全てが、自分の一部のように感じられるからなんだろう。

直子の入った病院、いいなぁとうらやましくもなった。
外界とも自由に行き来できるこれに似たような社会が理想かもしれない。
そこを体験して戻ってきたときのワタナベ君
(あーそういえばどこまでいっても女性たちは名前じゃなくワタナベ君と呼んでたなぁ)の、
この世界に対する違和感がいいなぁと思った。
だってほんとにこの世界って変だし不思議な世界だものネ。
結局慣れきれないまま理解できないままに去っていくんだろう。。
または慣れた気になったまま。。

印象に残った部分は3箇所

「ねぇ、知ってる?世の中にはいろんなもの押し付けたり
押し付けられたりするのが好きな人ってけっこうたくさんいるのよ。
そして押し付けた、押し付けられたってわいわい騒いでるの。
そういうのが好きなのよ。」

自分に同情するな。自分に同情するのは下劣な人間のすることだ。

どのような真理も、どのような誠実さも、どのような強さも、
どのような優しさも、その哀しみを癒すことはできないのだ。
我々はその哀しみを哀しみ抜いて、そこから何かを学びとることしかできないし、
そしてその学びとった何かも、次にやってくる予期せぬ哀しみに対しては
何の役にも立たないのだ。

それにしても最後のシーン、最初のずうっと後から回想してるシーンが無かったらたぶん、
彼も直子の世界に?・・と受け止めたかも。
変な終わらせ方するんだな~。

あとがきないのかなと思って見たら、「講談社文庫刊行の辞」があり
あとがきは読むけどこういうとこって読むことなかったかもと、
なにげに読んだら涙が流れて震えた。

われわれは権威に盲従せず、俗流に媚びることなく、
渾然一体となって日本の「草の根」をかたちづくる若く新しい世代の人々に、
心をこめてこの新しい総合文庫をおくり届けたい。
それは知識の泉であるとともに感受性のふるさとであり、
もっとも有機的に組織され、社会に開かれた万人のための大学をめざしている。
大方の支援と協力を衷心より切望してやまない。
1971年7月 野間 省一

■映画|ノルウェイの森

映画|ノルウェイの森

トラン・アン・ユン | 監督
キャスト
松山ケンイチ| ワタナベ
菊地凛子 | 直子
水原希子| 緑
玉山鉄二 | 永沢
高良健吾 | キズキ
霧島れいか | レイコ
初音映莉子| ハツミ
柄本時生| 突撃隊
糸井重里 | 大学教授
細野晴臣| レコード店店長
高橋幸宏| 阿美寮門番

映画の内容はまるで小説の中の世界をさらに切り取って四こま漫画にしたみたいだった。

たぶん期待し過ぎた。本のほうを読み終えたばかりで、
あれ?あれ?あれ?という部分が結構あってそのたびに
原作を記憶の中から取り出してその違いを照らし、
ふ~ん、と思いつつ観てたけど、これ原作読まずに観る人はどんな感想を持つんだろう。

まるで共感できないまま話は進み、
知らない他人の葬式に参列してるような感覚。仕方無いのかもしれない。
はしょる場面があり過ぎて、原作読んでみたくなるように仕向けて
これ観たら読んでみてといいたいのかもと。。

でも、ビジュアルとしてはなかなかいい作品だと思う。
60年代のしかも品の良い建物の作りやインテリアが
とても新鮮に映り、その美しさはまるであのフランス映画『アメリ』を思わさせた。

そう、緑役の水原希子さんがとてもきれいでキュートで
まるでアメリにも似てて美しかった。この映画でデビューなのだそう。
アメリカ人の父と韓国人の母を持つ彼女、
どうりで日本人離れしてると思った(日本人じゃないし)。

永沢の恋人役のハツネ、初音映莉子(はつね・えりこ) さんも
きれいで、もっと彼女のシーンが見たかった。
目だけ怒って静かに話すシーンが怖くていい。

配役のイメージは、本から彼らの体型、髪型、声など
すっかりイメージが出来上がってしまってたので、それはことごとくきれいに裏切られた。

まぁ大体はそれはそれでいいんだけど、
特に直子のイメージが出来上がっててしまってて
その違いはどうしても受け入れられるものじゃなかった。
この点だけが妥協できず残念だった。
それほど強烈にイメージを作らせる村上春樹氏の文章、なのかもしれない。
でもねぇ、直子の存在は、
やっぱり一番この映画の主体だと思うんだよねぇ。うーん。。

あと、突撃隊のラジオ体操とか、病院のスタッフのおしゃべりとか
一番最初の飛行機に乗ってるシーンも見たかったなぁ。

ワタナベ君を演じた松山ケンイチさんについては、イメージが違うようでいてこれもいいかもと思った。
囁くようなしゃべりかたとか雰囲気がよかった。

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