カテゴリー: lifeshot

記憶のメカニズムについて ”「“記憶” 未来を切り拓く源泉」 – ヒューマニエンス 40億年のたくらみ” より


記憶がどう脳に蓄えられ取り出しているのか。なぜ記憶違いが起こるのかについてわかっていることが取り上げられている。

“「“記憶” 未来を切り拓く源泉」 – ヒューマニエンス 40億年のたくらみ” https://www.nhk.jp/p/ts/X4VK5R2LR1/episode/te/5Z24L7X6XG/

初回放送日:2024年1月22日

「記憶」の実体が次々と明らかになってきた。いまや記憶は、物理的な痕跡として観察できる神経細胞のネットワーク。さらに記憶をつくるたんぱく質を操作することで記憶の書き換えや消去に成功した研究者から、驚きの言葉が…「記憶の本質は書き換え能力」。同じ体験でも人それぞれ記憶が違っていたり、思い出が美化されていくのも、実はその書き換え能力のおかげ。なぜ私たちは「記憶」を持つのか。記憶のメカニズムの意味に迫る。

以下にメモ

◼️海馬と大脳

海馬は常に使う記憶 普段使わないが必要な記憶は大脳の方に蓄える

グリア(糊)細胞は必要のない記憶のシナプスを食べる(貪食)

・リプレイした記憶が定着する(眠っている時にリプレイしている)

・記憶したいものは眠った方が定着しやすい

・グリア細胞から作用があれば瞬間的に覚えられるがすぐ忘れる

◼️扁桃体は情動と関連した役割

海馬の記憶の増幅させ「側頭葉」へ送り込む

◼️忘却、書き換えによる生存戦略とメカニズム

瞬間的に過去の記憶を改変してアップデートすることができる。

星座のように繋がった記憶はつながり間違いがあり、それは記憶のメカニズムの本質であり優れた性質でもある。

進化的に記憶を書き換える能力を持った生物が生き残ってきたという解釈。生存戦略。

*危険を察知する能力は決まった記憶に縛られていると危険に陥る。

記憶を都合よく書き換えてきたから生きることができた。

鮮明な記憶でも必ずしも正確とは限らない。

記憶は一度思い出した時、一時的に一旦薄れて弱くなる。この時記憶違いが起こりそのあとその記憶が強く定着する。

◼️記憶操作の研究

記憶痕跡細胞に遺伝子操作をして光で活性化させる「光遺伝学(オプトジェネティクス)」をすると記憶を置き換えることができる。トラウマ体験と怖かった記憶を切り離す治療ができる可能性がある。しかしそれは、アイディンティティ、自分らしさを失う可能性があるのではないかとも考えられる。→脳科学の一番大きなテーマ

◼️運動と小脳

運動は小脳に蓄えられる。積極的に忘れないと高度な動きを覚えることができない。忘れる事によって大切なことを覚える。

身体記憶は忘れる記憶のメカニズムが重要な役割を果たしている。

脳の8割の神経細胞が小脳にある。運動専用のプログラムを作る場所。

脳にとって過去も未来もない。

過去はいつも新しく未来はいつも懐かしい。(未来は過去の組み合わせで考える)

記憶はオリジナリティー

研究者 「記憶は感性や創造性とどう繋がっているのか明らかにしたい。記憶がどう人格に影響しているのか、潜在意識、深層心理の研究が次の脳科学の大きなテーマ」

「脳はどうやって情報処理しているのかを明らかにする方向へ行く」


感想つらつらと

忘れることが肯定されていることに軽いショックを受ける。その理由が生存戦略だという説明から、ああ確かにと理屈では納得するけど大切に守っていた何かが崩壊するような、足元が崩れるような気がした。

寝ている時に大切だと判断して記憶として保管する判断は私であって私ではない不思議なメカニズムに思える。意識的に選んでるようで無意識に選んでいるのか。

忘れるメカニズムの共通する目的は、ただただ生存戦略のため。

辛かった出来事も反芻せず忘れるように向かう方がいいのだろうか。その先に不安を感じるのは自分らしさから離れる寂しさなのだろう。

自分を傷つける記憶は、手離す。それは自分で選べるということなのだろう。意識的に手離したいならできるだけ思い出さないようにするのが近道なんだろう。

辛いことを考えるだけで自分を傷つける、のだろうか。

どうしても考えてしまうという段階はいずれ時が溶かしてくれるということか。苦しい環境から離れて養生できたら…。忙しく過ごして考えなくても済むようにするのも手なんだろう。トラウマはやはり生きていけない信号のようなものなんだなと思う。

みんな同じものを見てるわけではなくまさに百人百様、似ているようで皆違うという歴然たる事実を意識しておきたい。

同じように反応してたとしても、実はひとりひとり微妙に違うものを見て違うことに興味を持ち違う世界観を持っているというのが真実であり(こうして書いてみると当たり前なことだなと思うけど)だからこそ面白いのかもしれない。

似たような文化や価値観を持った人たちと暮らしているとこんな風に考えられなくなりそうだ。

目の前の現実、刻一刻と変化していく「現実」とは一体なんだろうとも思う。その人にとっての真実。真実って何。

そんな私たちが共に笑ったり共感したりするのはこの記憶のメカニズムの側面を考えると奇跡みたい。

カテゴリー: ドキュメント

“土” 生命の星の小宇宙」 – ヒューマニエンス 40億年のたくらみを観た


「“土” 生命の星の小宇宙」 – ヒューマニエンス 40億年のたくらみ」3/5再放送の録画を観た。

テレビに出演されてた藤井氏の記事がありました。
“ヒューマニエンス『土』特集ついて|藤井一至”

土は地球にしか存在していない。

土は地球にしか存在していないのだそうです。

地球の全体像としてみかんの皮というよりりんごの皮より薄い層だそう。もっと厚いと思った。数十メートルから1メートルない所もあるそう。

世界の土は12種類 日本はたしか6種類

海から上陸した生き物のひとつの地衣類。
(*地衣類- 菌類と藻類の共生。菌類が岩を溶かしてミネラルを吸収→その一部を使って藻類が光合成→糖分を作り出して菌類に取り込まれて自活できる生物)
地衣類の死骸が有機物の塊。岩が細かい砂になったところに死骸が混ざって土になる。そこに土壌微生物が住む。地衣類の死骸を分解して土の栄養分になる。
…と、番組では専門家の方から見ればざっくりした説明なのだろうけれど素人から見れば知らない世界でありその奇跡的な生物というだけで人工的には作れそうもない世界だということが伝わってきた。

土の中に小宇宙があった。私たち人間の身体も小宇宙と言われている。

「神様が土で泥人形を作り、息を吹きかけて人間を作ったという神話」が実は途中の工程全てすっ飛ばした極論的真実かもしれないとも思った。土の違いが人種の違いになったのかもしれない。

食べ物の95%以上は土由来で残りの5%が海由来だそう。これはもう、土から生まれたと言ってもいいのでしょう。この文言すごいインパクトある。

微生物は他の微生物に出会うと侵食するのではなくお互いのテリトリーを敬うように折り合いをつけるのだそう。一人勝ちになれば自分も生き残れない道理がDNAに刻み込まれてわかってるかのように。ああ人間も見習えたなら。

土といえば思い出すのはやはりこの名言。

「土から離れては生きられないのよ(by 天空の城のラピュタ/シータ)」

ほんとに生きられないんだな。

イーロンマスク氏が火星移住計画を公言したニュースがあるけど土の問題は考えているのかな。いや考えてるからこそ研究されてるのかもしれないしどうなるのかな。

藤井 一至氏の著者↓

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カテゴリー: ドキュメント

フロンティア NHKbs 知的探求ドキュメンタリー 第2回「AI 究極の知能への挑戦」を観て


痛みを回避する為に学習するミニ脳について

第2回「AI 究極の知能への挑戦」
12/13(水)BS 夜9時

最先端を切りひらく者にしか見えない景色がある”。科学、宇宙、歴史、アートなど…最先端の驚きの新世界をディープにお伝えする、新感覚の知的探求ドキュメンタリー。

進化が止まらない人工知能・AI。ChatGPTをはじめとする生成AIの登場によって、人間の能力にも匹敵するAIが次々と現れ始めている。その開発の最前線を、最新型AIロボットとガチ対談!漫画の神様・手塚治虫の代表作「ブラック・ジャック」の新作に、生成AIが挑む!?脳細胞とコンピューターを融合させた、究極の人工知能とは?科学の力で、知能の仕組みを解き明かすことはできるのか?
AIロボットアメカへの長時間インタビューや、ブラック・ジャック制作中ドキュメンタリー、世界各国のトップ研究者の声をお届けします。

最後の方で脳細胞を培養したのを小さなチップに置いて電極が繋がれており簡単なゲームをさせている実験があった。

この実験で大切なのは、間違った時に電気刺激をしてその刺激を回避する為に思考した脳細胞がゲームをクリアするというもの。

これってGIGAZINEで見たことがある。

実験室内で培養した人の「ミニ脳」にゲームをプレイさせることに成功、AIよりも速いわずか5分で習得 – GIGAZINE

つい最近もこんな記事が出てた。

培養したヒトの脳組織を使ってコンピューターを構築することに成功、日本語の音声認識にも対応 – GIGAZINE

これって「痛み」だと思った。

または野菜や果物を美味しくするためのストレス負荷。
これをしないと何万回も繰り返さないとAIは学習できないと番組では言っていた。脳はとても効率的だと。

どこか勘違いしてるかもしれないけど即座にイメージとしてキリスト教の「原罪」を思い出した。

人は痛みによって学習するのだろうか。幸せになりたくてもがき苦しむのは宿命なんだろうか。

研究者が目をキラキラさせてインタビューに応えてたのが印象的だった。

カテゴリー: Health

ヒューマニエンス 40億年のたくらみ 「“死の迎え方” ヒトの穏やかな死とは」を観て


ヒューマニエンス 40億年のたくらみ
「“死の迎え方” ヒトの穏やかな死とは」
初回放送日: 2023年11月20日

高齢の人を見てると同じ90歳くらいでも人によってとても元気な人とそうでない人の差があって驚いてしまう。特に認知症の人認知症にはならない人の差、老化の進み方が違うのが不思議でならない。どうしてこんなに違ってしまうのか。生活環境の違いや心労などいろいろあるだろうけど、そういう話では無くこの番組のテーマは身体の老衰や死の迎え方について

◼️

ギネスの世界最高齢記録は122歳。  
日本人の死因の1、2位が癌や心疾患で3位が老衰なのだそう。

人は大体80歳以上になってくるとBMI(体重)が減っていくそう(その減り方は人それぞれ)。筋肉脂肪だけでなく臓器の重量も減っていく。
なので十分な栄養や水分を摂っていても身体が取り込めなくなるので食事量が変わらないのに体重がどんどん減っていくのが寿命を迎えたサインであると。(肝臓脾臓は他の臓器より60代からの減り方が大きく心臓、脳の減り方は緩やか)。

高齢者施設で死亡した人の推移


食事摂取量と水分摂取量は数年前から変わらず亡くなる数ヶ月前から数値が急激に減少する。
しかしBMIだけは5年前から急激に減少していた。

終末期の高齢者の身体は栄養を取り込めなくなっている。

このBMI値が下がり始めてから死を迎えるまでの期間は、研究結果によると約2〜5年だそう。

老衰のサインが始まっているのに無理に点滴や胃瘻などで摂取すると患者は腹水や浮腫など苦しむことになる。
高齢でBMIが減り始めたら(12を切ると生命維持ができなくなる)引き算のケアが大切。

老化細胞とは

リボソームRNA遺伝子が作り出した細胞の維持に欠かせないタンパク質を合成するリボソームは構造上紫外線などで変異しやすく変異したリボソームにより正常なタンパク質を合成できなくなる。

正常なタンパク質を合成できなくなり幹細胞の老化が早まり分裂が滞り組織の細胞の数が減少して全身の臓器が萎縮する。至る所に老化細胞が居座り炎症性サイトカインを撒き散らしさらに周囲の細胞を老化させ臓器の機能を低下させる。

一言で言うと細胞の入れ替わり(ターンオーバー)が遅くなっていく。

人間がなぜ長生きするのかというと、いいシニア、高齢者がいることは組織にとって知識技術の継承に有利だったから。

死へのソフトランディングを考える事が大切になっている。

本人や家族医療従事者が協力してケアの方針を決めていくことが穏やかな死へ着地していく。

最期の時、低酸素状態になると浅い呼吸(下顎呼吸)になり見た目は苦しそうに見えるが、“エンドルフィン”という脳内麻薬が分泌されるので多幸感に包まれ当人は穏やかな気持ちでいると考えられるそう。

“下顎呼吸”
最期の瞬間は息を吸って終わるため「息を引き取る」と言われる。

この世に生まれる時は息を吸いこの世から去る時は息を引き取る。

◼️

癌についてはそれを享受することでポジティブな変化が現れることを「PTG心的外傷後成長」という。
(がん体験後の新しい人生観 5つの変化)
・人生に対する感謝
・新たな視点
・他者との関係
・人間としての強さ
・精神性的変容

乳がんになり手術もせず抗癌剤も使わず緩和ケアをしている方のブログを読んでいたことがある。テレビにも取り上げられるようになった吉野実香さん。 

症状が治ってから(仕事も再開されて元気になられた)見に行かなくなり最近思い出して見にいったら今年になって再発というか癌の活動が復活しており医者からは覚悟するようにと言われてて驚いた。

正直このような状態だと数ヶ月なのだろうけれど今や冬に突入してもまだお仕事に出られてて本人も不思議がられてる。痛みは出てきてモルヒネも服用し悪化してるようなのに。

“mikaオフィシャルブログ「猫と癌と諸々と」Powered by Ameba” https://ameblo.jp/3bikinoneko-y/

彼女のブログを読んでいるとまさにPTG心的外傷後成長のモデルにピッタリだと思う。何年も死が隣り合わせだったからなのか気持ちが定まりある意味悟られたのか。凛とした佇まいが伝わってくる。

癌になる死に対して心の準備ができる意味ではいい病だとも言われている。
私はこのような心の準備ができるだろうか。

カテゴリー: Health

文字とディレクシア(識字障害)


ディスレクシア(識字障害)というとヒューマニエンスの番組でやっていたのを思い出した。

“「“文字” ヒトを虜にした諸刃の剣」 – ヒューマニエンス 40億年のたくらみ” https://www.nhk.jp/p/ts/X4VK5R2LR1/episode/te/WQ2YKP89XQ/
初回放送日: 2022年10月25日

文字を使い始めたのは人類の歴史の中では浅く、表音文字と表語文字の流れがあり、文字によって得た事、失った事があると。
この番組では、ディスレクシアは文字と視覚の結びつきが弱いけど視覚分野の能力の制約が解き放たれた状態というような事を示唆してた。
文字は書けないが優れた細かい描写の絵を描く人が紹介されていた。

『松岡正剛の千夜千冊』で紹介されてる本『メアリアン・ウルフ プルーストとイカ 読書は脳をどのように変えるのか?』
https://1000ya.isis.ne.jp/1477.html

ディスレクシアの子をかかえた認知科学者が書いた本。こちらの松岡正剛氏の書評に圧倒される。

「読字障害は文字をその音と関連づけられない、話し言葉を音に分解できない」とあった。音との関連(ここに脳の機能についての図解有り)。

ディスレクシアの克服方法に、音楽やリズムとともに本を読んだり、物を即座に答えるネーミング感覚を磨いたりマーキング読書法が挙げられており、別にディスレクシアでは無くても参考になりそう。

何度も文字を書いたり読んだりするうち脳のネットワークが形成されてできるようになると。その代わりその人のそれまでの持ち味、得意としていた才能が薄れていくのかもしれない。そうも思ってしまう。数年後にはまた別の事実がわかるのかもしれない。

私は本を読んだり文章を書くのが上手い下手は抜きで好きなんだけど継母はある意味ディスレクシアではなかったのではないかと考えるようになった。

文字を読むのが苦手と言っていた。書くのも苦手だと。当時これがよくわからなかった。本は現実逃避には打ってつけだしいろんな世界や人の考えの中にもぐりこんだり、擬似体験できたり何故こんな面白い世界が好きになれないんだろうと。

しかし彼女自身もその特性に戸惑い困っていたのかもしれない。

数ある彼女について理解できなかったことの原因のひとつとして捉えようと思う。